ごほんごほん。一昨日、セキがとまらなかった。しかしだ。頭痛もないし、倦怠感もない。ただ、セキがとまらないだけなのである。
翌日になった。
頭が痛い!!関節が痛い!!止まらぬセキ!!そして、倦怠感!!
完全に風邪なのである。
流行に乗った。まだまだ流行に乗れる28歳である。
さて、風邪も若干良くなってきたので、ベッドから日記を書こうと思う。
僕が高1の頃、ホームステイをしたことがある。
といっても、僕がホームステイをしたのではない。ホームステイ先として、外国人を受け入れたことがあるのである。
高校2年生のアンドリュー、略して、ドリューという奇妙なアメリカ人を受け入れたのである。
最初の1週間ぐらいは、大人しく内向的なドリューであった。
しかし、1週間を過ぎたあたりから、徐々に本性を現していった。
「ヘイ、ヤスヒーロ。テニスシヨウゼ」
彼は突然、僕の部屋を訪れて言う。
「いいぜ。ただ、俺はテニス界のロナウジーニョだぜ」
と言ったか、言わないかはわからないけど、彼の申し出を受けた。
テニスコートに立つ。日米対決である。
僕はテニス部。彼はアメフト部である。
しかし、僕は手加減などはしない。
決まるサービスエース。決まるリターンエース。決まるスマッシュ。
アメフト部には1点も入れさせない。
「ファーーーーーーーーーック!!!」
彼はラケットを投げ捨てて帰って行った。
こんなこともあった。
僕の学校帰りである。僕は学校行きのバスが出ているバス停まで、自転車で通っていた。
自転車置き場で友達と談笑していた時である。つたない日本語で叫ぶ声が聞こえてきた。
「ヤスヒーロ!!ヤスヒーロ!!!!!!!」
ちらりと声がする方向を見る。
ドリューである。バスの窓を開け、体を投げ出し、僕に向かって叫んでいるのである。
「ヤスヒーロ!!!!ヤスヒーロ!!!!!」
高校生といえば、多感な時期である。羞恥心が激しいのである。
「あっ、あぁ」
てな軽い反応をする。ドリューは、つたない日本語で、
「ドーシテ!!??ドーシテ!!!???」
といいながら、
「ホワイ!?」
のポーズをしながら去って行ったのである。
しばらく、バスが遠のいて行っても、
「ドーシテ!!??」
という声だけが聞こえていた。あの切なさと言えば筆舌し難いものがある。
彼がもう、かなり僕に親しみを持ってくれたときのことである。
ドリューが僕の部屋に入ってきた。
「ヤスヒーロ。エロビデオハモッテイナイノカ?」
エロ顔でアメリカ人は僕に言うのである。
「持ってるに決まってるだろ。なめんなアメリカ人!大和魂をなめるな!」
僕は宝箱からエロビデオを出し、彼に渡したのである。
「テンキュー」
彼は僕の部屋から出て行った。
その5分後である。
彼は残念な顔をして、僕に部屋に戻ってきた。
「フゥ〜。オーマイガー」
彼はそんなことを言い出しそうな顔をして、戻ってきたのである。
「ヤスヒーロ。ナンデスカ、コノモザイクハ?」
彼は言う。日本はモザイクがあるのである。
日米対決。日本の敗北である。
変なアメリカ人だったなぁ。今、なにやってるんだろ。