今週、札幌でも初雪を観測。すっかり寒くなってきた。そんな寒くなってきた先日の話である。
その日はバイトが休みで、家で勉強をかましていた。
勉強に疲れ始めた夕方である。疲れた戦士は、休憩も兼ねて、愛犬の散歩に出かけたのである。
その日は休みだったので、ちょっと遠くまで散歩に行った。
散歩先は、夏によく行く川なのだが、奥の方までは行ったことがない。疲れた戦士は、犬を引き連れ、奥地の方へと進んで行ったのである。
見たことのない景色。奥地だけあって、なるほど自然がいっぱいである。疲れた戦士は、空気を大きく鼻で吸う。自然の匂い。疲れた戦士は耳をすます。川のせせらぎ。まさに、癒しの場所である。
疲れた戦士は、癒しの場所を奥地の方へと進んでいく。
すると、こんなに寒いのに、川の水面に4匹のカモがいるのである。
「ほー。こんなに寒いのに、ご苦労である」
とカモに向かって言った。その瞬間である!愛犬が水面にいるカモ向かってダッシュ!!
愛犬は大型犬。しかも、大型犬の中でも、巨躯である。僕は馬力ならぬ犬力に負け、思わず手綱を放してしまった。
愛犬はカモを追いかけるために極寒の中の川に飛び込む。
嫌な記憶が走馬灯のように蘇った。
その昔、愛犬が幼犬の頃、真冬の川に飛び込み、死にそうになったことがあるのだ。
「イカーン!!!」
と思い、僕は愛犬を追いかける。愛犬はすっかり川の中なのだが、手綱が長いせいも手伝って、手を伸ばせば手綱に届く位置にあった。
ダッシュで手綱を掴みに行ったその瞬間!!!
どぼーん!!!!
そう、僕が川に落ちてしまったのである。川から1メートルぐらいのところがぬかるんでおり、足を滑らせ川に落下である。
「ひゃー!!」
とあまりの寒さに僕は思わず声をあげた。その時の寒さと言ったら、筆舌し難い。冷たいを通り越して、痛いのである。
なんとか手綱は掴んだものの、寒さと共に湧き上がる感情。そう、恥ずかしさである。
誰かに見られていないものかと、僕は周りを見る。
おばちゃんに思いっきり見られていたのだ!おばちゃんが近づいてきて、笑いながら一言。
「大丈夫かい?」
「はひ、大丈夫っす。寒中水泳をしようと思ったのです」
と苦し紛れの冗談。
癒しの場所から、戦慄の場所に様相を変えた。
もう寒い時期に川には行かないと決めたのは言うまでも無い話である。